長野県長野市青木島町大塚にある青木島遊園地は、2023年3月末で廃止されることがわかりました。青木島遊園地周辺には保育園や小学校等、自動利用施設も多く、廃止することに意義を唱えている人がいます。廃止となった原因とその経緯を調査します。
青木島遊園地が苦情により廃止に至った経緯
引用:信濃毎日新聞
みると2004年に苦情が始まって以来、20年間も続いていることがわかります。
長野市議会議員の小泉一真氏が長野市に公開請求した資料には、青木島遊園地の廃止に至った経緯がわかる苦情の現状報告書がありました。
この報告書を見ると、苦情を言い続けている人は、一人であることが伺えます。長野市は、一人のクレーマーのために未来の日本をつくる子供の大事な遊び場を廃止させたということになります。
こちらの資料に書かれている内容は、まとめると以下の通りです。
- 2021年7月20日10時>苦情者より入電
- 送迎車のエンジンがとまっていなかった。
- センター設立当初(平成13年)からエンジンをとめてほしいと言い続けているが改善されない。
- 通知、張り紙、保護者への声かけ保護者への声掛けをしているというが、徹底ができていない。児童センターの保護者の駐車スペースと職員の駐車スペースを取り換えて欲しい
- 2021年7月20日16時>苦情者より再度入電
- どのような方向で検討しているか担当者から電話をいただきたい。
- 2021年7月20日18時>市役所職員より入電
- 保護者の駐車場スペースと職員の駐車場スペースを取り換えるのは難しいと伝える。
- 2021年7月21日9時>苦情者より再度入電
- 児童センターの保護者の駐車スペースと職員の駐車スペースを取り換えて欲しいと前日断られたにもかかわらず、同じ内容を要望する
- 2021年7月21日11時>市職員から入電
- 保護者の駐車できる台数が変わらないのであれば前向きの検討する
- 2021年7月29日に苦情の意見を受け入れ、試験的に対応することとした。
- 2021年8月2日8時>苦情者から入電
- 駐車場の入れ替えにつき、夕方だけでなく朝の時間帯、さらに1日と言わずに1週間やってみてほしい。
- 2021年8月2日16時>児童センター館長、館の先生2名、こども政策課2名で協議
- 朝の時間帯は、送迎車が集中し道路に車が連なることで他の近隣の迷惑(騒音等)がかかることや、児童安全が損なわれることから、夕方のみ試験的に行うことで決着した。
- 2021年8月11日15時>苦情者、児童センター館長、長野市こども政策課で3者面談が実施される。
- センター設立時に苦情者の居住地区である大塚第一地区の代表者2名への説明はあったが、苦情者に説明はなかった。
- 以前にはセンターの外にあるスピーカーによる館外放送が行われてうるさかったので、館外放送をやめてもらったことがあるが、今は館内放送の音が気になる。
- 仕方がないことだとは思うが、遊戯室で子どもが遊ぶ音も気になる時がある。
- 児童センターの音が気になる。
- 以前にアイドリングしている車がいたため2日間で20台近く注意したことがあるが、施設職員が注意市に出てくることを見かけたことはない。
- 今、保護者のお迎えの時間だけ保護者のセンター前の駐車スペースに職員の車2台を停めていただいていることには感謝しているが、朝の時間帯も同様に行っていただきたい。
- 児童センター館長が8月2日の協議内容に基づき、朝の時間帯は、送迎車が集中し道路に車が連なることで他の近隣の迷惑(騒音等)がかかることや、児童安全が損なわれるため朝はやらない旨伝える。
- やる前からあれこれ言わず、とりあえずやってみてほしい。
- 以前に30人ほどのセンターの子供が遊園地で走り回って遊んでいるときがあったが、うるさくてとても耐えられるものではなかった。
- センターの子を順番に5人ずつ出して、ボール遊びをしたり、走り回っているせず静かに遊ぶということ形なら許容できるが。
- 児童センター館長は「子供に注意したとしても子供は声を出したり、走り回ったりするものだから、静かに遊ぶのは難しいと思う」と述べた。
ざっくりまとめると、苦情者は、「エンジンの音がうるさい」、「児童センターの館内放送がうるさい」、「子供の遊び声がうるさい。静かに遊んでもらいたい」と言っています。
苦情のあった青木島遊園地の場所
青木島遊園地の住所は、〒381-2205 長野県長野市青木島町大塚1309−1です。
遊園地の周りは三方が、小学校、保育園、児童センターとなっており、遊園地は子供の遊び場として最高の立地に設立されているのが伺えます。
公園の入り口がある一辺にだけ、住宅が3~4軒並んでおり、以下写真のバツ印のついた家がどうやら苦情者の家のようです。
引用元:長野市議会議員、小泉一真さんのYOUTUBE
↑入り口向かって右側が、青木島保育園です。
↑公園には緑も多く、左手に見え児童センターからは青木島遊園地に直接いける仕様となっています。
↑公園を背にしたエリアが、唯一の住宅エリアです。
長野市はたった一人の苦情者に折れて、青木島遊園地を潰す
- 弁護士に確認したところ、公園で子どもが遊ぶ程度の騒音は受認の範囲内であるため違法性はないとの回答を得た。(公園緑地課)
- 苦情を受けながら子どもを遊ばせることは難しい。このため愛護会からも外していただきたい。現状では苦情者から具体的な妨害行為などを受けているわけではないので市として訴訟する根拠はない。(こども政策課)
- 苦情対応しながら利用することは困難である。この状況で愛護会は引き受けられない(児童センター)
- 現状では喋ることができない0〜2歳児のみ公園に連れて行く(保育園)
- 公園利用できれば自然や地域を学ぶ場所として利用したい気持ちはあるが、学校に対しても苦情がきている状況で利用できる状況ではない。(小学校)
- 地元としては利用の実態もなく愛護会の引受もできない状況から閉鎖もやむを得ない(区長)
あっさりと閉鎖となれば他の公園にも波及するのではないか。苦情がきたら閉鎖という流れが来ないか心配である(区長) - 本来公園は大人がこどもたちのために維持管理している場所だが、本件は子供たちの場所を大人の都合で利用制限させている。子供たちの遊び場としてふさわしい状態ではない(こども政策課)
- いろいろな意見があるがあると思うが実態として20年以上続く問題で、その間利用できない状況が続いており、誰も愛護会の引き受けもできないのであれば、閉鎖を前提に進めて問題ない(区長)
- 今日欠席の区長には私から説明しておくので今日のところは閉鎖の方向で問題ない。(区長)
この展開、違和感がありすぎませんかね。
- クレーマーしつこく苦情を言い続ける。
- 苦情のせいで、遊園地周辺の児童センター、小学校、保育園が自由に青木島遊園地を使えなくなる。
- 自由に使えていないから、児童センター、小学校、保育園は愛護会も引き受ける意味ない。
- 遊園地が使われてなくて、愛護会も誰も引き受けないなら、閉鎖しかないね。
青木島遊園地苦情による閉鎖で、長野市は「子育てしやすい街」を放棄した
2023年12月1日の長野県市議会議員の小泉さんのツイッターで、長野市が作成した「青木島遊園地廃止の経緯と閉鎖までのスケジュール」レポートを入手しました。
廃止の考え方
- 青木島遊園地の開設場所は、地元区長会が地裁者と交渉し決定したものである。
- 当時は、児童センター、保育園、小学校に隣接しているため、新たなに遊園地を設置する場所として敵地と判断したと思われる。
- しかし、それら施設があることによって、一度に訪れる利用者があまりにも多い状況で使用される環境であり、近隣の住環境を考慮すると、結果、必ずしも敵地ではなかったといえる。
いやいや、子供がいる場所に公園を置くことがなぜ、敵地ではなかったといった判断になるのでしょうか。チルドレンファーストと公言していた荻原健司長野市長は何をやっているのでしょうか。
青木島遊園地への苦情者の言いなりで、区が施した施策
上図は長野市議会議員、小泉一真氏のYou Tubeで流れた青木島遊園地の平図面です。
青木島遊園地に対して苦情を言ってくる1人のクレーマーの希望を受け入れ図面化したのは上記平面図。区が苦情者のために対応した施策は以下の通り。
- 木を植える
- 子どもがぶら下がって移動する道具を置く
- 入り口の場所を変えるなど
- 子供が苦情者宅に近寄らないように道路側につつじを植える
- 保護者と児童センター職員の駐車場スペースの位置を入れ替える
小泉一真さんはYou Tubeの中で「社会的地位の高い上級国民だから意見が通ったのではないか。」と話しています。
一人の苦情者によって廃止となった青木島遊園地に対し意義を唱える「長野市議会議員 小泉一真さん」
一人の苦情者によって廃止となった青木島遊園地に対し意義を唱え続けるのは、長野市議会議員 小泉一真さんです。
小泉一真さんは、本件について長野市に対し、情報開示請求をしております。今後も新しい情報が入り次第、追記していきます。
一人の苦情者によって廃止となった青木島遊園地に対する有識者の声
残念極まりないですね。日本は少子化が進んでいると嘆くわりに、子どもが大事にされていると感じる場面が極めて稀です。子どもが大事にされない社会に未来はありません。かつ、苦情が入ったとして、子どもたちに意見を聞いたり、関係者(もちろん子ども含む)が集まって改善策や落とし所を見つけるのが、民主主義の在り方であり、いかに社会として未熟かが浮き彫りになっているように思います。
また、何かプラスのことをして喜ぶ人を増やすよりも、クレームを言う人を減らす、マイナス評価(減点主義)ばかり気にしているからこそ、どんどん規制が増え、生きづらい社会になっているように思います。
ブラック校則も同様ですが、厳しくルールを作るということは、確かにリスクは減るが、その分可能性(プラスの面)も失われると言うことをもっと社会として自覚すべきです。日本若者協議会代表理事 室橋祐貴氏
経営者向けの講演会では必ずお話するのですが、我が国の少子化の深刻さは一刻の猶予もない状況になっています。
若い世代の人たちが、暮らしやすい、子育てをしやすい環境を作ることは、若い世代の人たちのためだけではなく、中高齢者の人たちのためでもあります。地域社会、地域経済の振興の成否に直結する大きな問題です。子育てというと、教育の問題としてとらえられることが多いですが、地域経済の面からも考えてもらいたいと思います。
若い世代の人たち、子供を持つ家族が住みにくい環境を作れば、高齢化と人口減少を加速することになり、それは結果的に経済も停滞する地域となります。本当にそれでよいのか、地域社会全体で話し合う必要があると考えます。神戸国際大学経済学部教授 中村智彦氏
地域の支え合いが低下してきたともいえる。
以前は、子どもの元気な声や生き生きと活動する姿が地域社会にあふれていた。空き地、路地裏、お寺や神社の境内、公園などにである。
また地域の大人たちも子どもたちを温かく見守り、ときには叱り、ときには世話をし、地域社会で、子どもが大人へと成長・発達していくことを支えていた。そのような場が徐々に減少するなかで、公園は、人びとが集い、憩い、語らう場として機能している。子どもにとっても、広々とした空間で、同じ子どもたちや違う世代の人たちと遊び等を通してつながり、多くのことを学んでいく。このように公園は、子どもにとって心身共に健やかに成長・発達する場の一つである。
社会全体で子どもを支える環境を作らなければならないなかで、子どもの場が失われることは残念である。子どもを社会で支える意識や支え合いの文化を醸成していかなければならないと強く思う。
明治大学公共政策大学院専任教授/社会福祉研究者 岡部卓氏
さみしい出来事ですね。子どもの権利条約には遊ぶ権利も定められています。苦情を言う大人のみなさんも小さな頃は元気に賑やかに遊んでおられたのではないでしょうか。
子どもの声や保護者の車の音なども、住民を苛立たせたのだとすれば、行政の対応ももう少し工夫の仕方もあったのかもしれません。
近隣住民の我慢できない理由にも事情が隠れているのかもしれません。関係者には住民を孤立させず、少しでも心が通じ合う対話を大切にいただきたいと願っています。
児童センターの登録児童は144名、公園がなくなるのでしたら施設を拡張しなければ、遊ぶ場所が少なくなってしまいます。
施設内事故も心配です。子どもを大切にしない自治体や地域に未来があるのか、とても心配ですね。
今年成立した子どもの権利の国内法である、こども基本法をきっかけに、子どもたちにもう少し寄り添える自分になれないか、大人も考えませんか?
私も1児の母であり、この件には憤りを覚えました。未来の日本の作る子供に対し、一人のクレーマーのせいで、公園をつぶすなんて、それを良しとする行政がゆるせません。
日本大学教授・内閣府子供の貧困対策に関する有識者会議構成員 末冨 芳(すえとみ かおり)氏
また、タレントの千原ジュニアさんも自身のインスタグラムで本件につき、#変な街#住みたくない街#恥ずかしい 等と投稿しています。
青木島遊園地のように市民の声で閉鎖された公園はあるのか?他国の事例は?
1990年以降、ドイツでは周辺住民が保育園の建設中止を求め訴訟を起こしました。そういった訴訟に対し裁判所は子供たちに有利になる判決を出すようになります。その判決傾向をもとに「子供のこれは騒音に値しない」という法律が制定されたそうです。
青木島遊園地苦情と正反対。文京区水道二丁目の神事例
水道2丁目遊び場の土地は、この土地に住んでいた故・福島正也さんが、地域住民への憩いの場としての利用を希望し、文京区に寄付された土地です。
この遊び場付近をグーグルマップで調査すると3つの保育園と1つのインターナショナルスクールが近くにありました。
口コミを見ると、「人工芝なので、子供が汚れず安心して遊ばすことができる」と高評価を得ているようです。
住民の苦情により、公園を閉鎖する地域もあれば、住民の厚意で、土地を活用して公園を設置する神エリアもあるのですね。神対応の住民、そしてその厚意をしっかり形にできる街に、子供は集中していくと思います。
ただでさえ少子化の世の中、子供より1クレーマーの意見が優先される日本に、子供の未来、いえ日本の未来はもうありません。
今後の動向にも注視し、最新情報入り次第、追記していきます。
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